「社内で英語禁止」徹底のAIスタートアップが解散 業務成り立たず これは嘘ニュースです
英語が禁止された社内メール。メールソフトも日本語化されていた。
梨電子は22年11月に設立したスタートアップ。AIや自動運転など高度なシステム開発を手がける。23年2月には、ビッグデータを使って通行者の人相から学歴や年収を瞬時に割り出すAIを開発。自動運転最大の困難とされてきた「トロッコ問題」を合理的に解決する手段として注目を浴びたことをきっかけに、新規投資家らを引受先として、300億円の資金調達に成功していた。
巨額の資金調達を機に、同社の九十九CEOは今年3月、業務における脱英語化を発表。4月以降、英語や外来語を使った社員には人事査定に影響を与えるとした。また年1回のTOEIC受験を義務付け、800点以上のスコアを取った社員に解雇を通知する一方、管理職昇格条件を50点未満に設定。全問不正解の10点を獲得した社員への報奨金制度も設けた。
同社社員によると、英語禁止前は「エビデンス」「ローンチ」「藪からスティック」など、不必要なほど英語や外来語が飛び交っていた社内は、ルールの実施以降、水を打ったように静まり返っていたという。
また、デジタル用語として定着していた「スマートフォン」「プログラム」なども使えなくなったため、社内でのやり取りも「応用柔物の利用者界面を修正したので、処理命令書類一式を社内雲鯖から下載お願いします」など、全て日本語に置き換えていたという。
脱英語化の背景には、英語を基軸言語にするIT業界への危機感があったようだ。九十九CEOは7月に配信した社員向けメールで次のように書く。
「先日、林檎が発表した人工知能「林檎知能」は、米国では年内に役務が提供されるが、日本など非英語圏では来年以降。英語を排し、純粋な日本語を基礎にした技術を確立しない限り、日本発の技術革新はないと確信した。」
だが、英語の禁止以降、社員間の意思疎通がうまくいかず業務が停滞。取引先とのやり取りにも日本語徹底ルールが適用したことが響き、事業の7割を占める海外企業との取引中止や打ち切りが相次いだ。
企業方針を疑問視する投資家に対して、九十九CEOは「来年からは電子計算機用命令言語も全て日本語のみにする」と反論。9月末での資金提供打ち切りを言い渡されたことが、解散の決定打となった。