Kyoko Shimbun 2018.10.26 News

今の21世紀はフェイク? 未来予想かけ離れる 米学者が主張 これは嘘ニュースです

本当の21世紀はAルートとして存在するという
 私たちが暮らす21世紀は、当初予定されていた未来から「Bルート」に逸れた偽の21世紀だ――。米国の未来学者が9月に発売した著作「FAKE FUTURE(偽の未来)」が話題を集めている。

 未来学の重鎮として知られる米国人ハーマン・トースター氏(83)の著作。発売後1カ月で80万部を突破した。トースター氏は同書の中で「この世界は、本来たどるはずだった本当の21世紀=Aルートから外れ、偽の21世紀=Bルートに迷い込んだ」と主張する。

 「FAKE FUTURE」によると、本当の21世紀「Aルート」では、透明なチューブ状の道路が流線型を基調とした超高層ビルに絡まるように伸び、空飛ぶ自動車が行き交っているという。また、世界政府による理性的な統治によって、戦争やテロは過去のものになっており、体に張り付くようにフィットした服を着た市民によって平和な都市生活が営まれている。

 このような未来像は、古くから未来予想図として世界中で描かれてきた。しかし、トースター氏はテレビや航空機など予想が実現していることを根拠に「途中までは予想図通りの『Aルート』を進んでいたはずだ」と主張。さらに「どこかの分岐点で『Bルート』を選択して偽りの未来に舵を切ったことが、技術の停滞や民主主義の劣化など現在抱える諸問題の根源になっている」と分析する。

 また将来の展望について、トースター氏は「今やAルートに引き返す方法はなく、この現実を享受するしかない。世界中を見渡しても誰一人として『バラ色の22世紀』を提示していないことからも、Bルートの結末は明らかだ」と悲観的見解を示している。

 分岐点でBルートに迷い込んだとするトースター氏の主張は、現在米国でネット上を中心に論争を巻き起こしている。「著者の妄想」「三文SF」という批判がある一方、「今の国際情勢を見ればBルートを選んでしまったのは明らか」「Aルートから来ました。まだ自動車が地上を走っていて驚きです」など共感する声も多く、現在その評価は真っ二つと言ったところだ。

 主張を疑問視する意見について、トースター氏は書評誌のインタビューで「たかが雨傘ひとつすら進歩しない今の社会を見渡せば『子供の頃に夢見た未来と違う』と違和感を覚える人は多いだろう。その直感的な違和感こそ、ここではない別の場所に『本当の21世紀』が存在する何よりの証拠だ」と反論している。

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<BOOK>高い城の男

 アメリカ美術工芸品商会を経営するロバート・チルダンは、通商代表部の田上信輔に平身低頭して商品の説明をしていた。ここ、サンフランシスコは、現在日本の勢力下にある。第二次大戦が枢軸国側の勝利に終わり、いまや日本とドイツの二大国家が世界を支配しているのだ--。第二次大戦の勝敗が逆転した世界を舞台に、現実と虚構との微妙なバランスを緻密な構成と迫真の筆致で書きあげた、1963年度ヒューゴー賞受賞の最高傑作。

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