七夕、影の主役・勝彦しのぶ会開かれる 仙台 これは嘘ニュースです
勝彦(『風俗通』より)
「しのぶ会」の開催は今年で8回目。すでに地元では「かつひこさん」の愛称で知られている。「天帝の怒りを買った織姫と彦星が、年に一度だけ会うことを許された」という七夕の故事は広く知られているが、この時天帝の怒りを収めるべく奔走したのが2人の共通の友人・勝彦とされている。勝彦は織姫(ベガ)、彦星(アルタイル)と並ぶ「夏の大三角形」最後の1つ・デネブを指しているというのが一般的だ。
中国の神話を記した『風俗通』によると、勝彦は彦星と同じく織姫に想いを寄せていたものの、織姫が彦星を愛していることを知って身を引いた後は気持ちを押し殺し、会えない2人のために天の川を泳いで手紙を仲介するなど、悲しみに暮れる2人を陰から支えていたという。翌年、勝彦は田んぼの様子を見に行く途中、増水した天の川に流され命を落としたが、あまりに不憫に思った天帝により、その魂は天の川近くに安置され、そこから毎年2人の再会を見守っていると『風俗通』では伝えている。
古くから七夕祭りが盛んだった仙台市では、日本で唯一この勝彦伝説が語り継がれており、8年前から地元の有志が「勝彦をしのぶ会」を催すようになった。参加者はこの日「今度はいい彼女が見つかりますように」「クロールが上手くなりますように」など、それぞれの願いを書いた短冊をくくりつけた浮き輪200個を市内の広瀬川に放流した。
勝彦への共感からか、年々「しのぶ会」への参加者も増えているという。
「しのぶ会」主催者で市内に住む篠山さん(34)は「織姫と彦星のような相思相愛の美談は、往々にして勝彦のようなくず星の涙の上に成り立っていることをもっと多くの人に知ってほしい」と話す。