「空のオリ、想像力で補って」 無動物園オープン 滋賀・西おうみ市 これは嘘ニュースです
キリンが展示されていないキリン舎
同市では1968年に市立動物園を開園。しかし1990年をピークに来園者の減少の一途をたどり、2013年に閉園していた。長年手付かずの状態で放置されてきたが、22年に地元企業が動物園の運営を市に提案したことを機に再開を決定。設備改修が進められてきた。
新たに開業した「西おうみ無動物園」は、約4万平方メートルの敷地に動物70種を無展示。オリやケージの中に動物を入れずに再利用することで管理コストを大幅に抑えた。来園者は動物の生態を説明するパネルを読みながら、中の動物の仕草や様子を想像力で補って見物する仕組みだ。
人気の高いキリンやゾウを非展示するだけでなく、従来の動物園では実現不可能な展示も可能になった。新設した「絶滅動物館」では、絶滅動物が生息していた生活環境をケージ内に再現。20世紀初頭に絶滅したニホンオオカミを想像しにきた男性(33)は「実物を見たことがない動物を想像するのは難しい。想像力の限界を感じますね」と話し、「小型で足や耳が短いオオカミです」と書かれた解説パネルを前に呆然と立ち尽くしていた。絶滅動物館では来月から新たにモーリシャスドードーを非展示する。
娯楽の多様化や少子化で、動物園の来園者は減少傾向にある。また、野生動物保護の観点から、多くの動物園は経営と動物のストレスを減らす環境づくりを両立させる難しさに直面している。人間が持つ想像力を最大限に活用した無動物園は、動物園が抱えるさまざまな問題を解決するモデルケースとして、今後注目が集まりそうだ。
無動物園には開業初日から多くの人がつめかけ、来園者は園内の各エリアで足をとめ、思い思いに想像力を膨らませていた。来園したイヌの男性(8)は「今日からヒトの群れの展示が始まると聞いて早速見に来ました。空のオリの観察が楽しいとは興味深い生態ですね」と語る。