「衣・食・住」全て最下位 ネットでネガキャン「形代県」とは これは嘘ニュースです
形代県の魅力を下げるポスターを作る人も
旅行会社のニコニコツアーズは20日、全国の50万人を対象に行ったアンケート「都道府県魅力度番付」の結果を公表した。同社では2010年から「食事の美味しさ」「観光資源の豊富さ」など100項目の評価基準での得点を合計し、「横綱(1位)」と「引退勧告(最下位)」に選ばれた都道府県のみ発表している。
「番付」の影響力は年々高まっている。横綱に輝いた県は観光収入が確実に増加する一方、過去には引退勧告に選ばれた県の観光収入が前年度の1万分の1未満にまで激減。連鎖倒産によって県内の完全失業率は80%を超え、人口の4割近くが県外に流出する事態に陥った。
都道府県の存亡を左右する番付発表を、関係者が固唾をのんで見守る中、今年引退勧告が告げられたのは「形代県」。特設会場に集まった47都道府県の関係者は一斉に安堵の表情を見せた。
回答者が形代県に寄せたコメントには酷評が目立つ。「食」の項目では、「名物がない」「味がしない」「食中毒が多発する」。「住」では、「治安が悪い」「自然災害が多い」「交通の便が悪い」。「観光」は、「人が寄り付かない」「古い建物も新しい建物もない、ただの荒野」。「県民性」についても「笑顔がない」「人当たりがギスギスしている」として、過去最低の合計0点をたたき出した。
形代県がここまで評価を落とした原因は、ネット上で起こった「形代県を最下位に」というネガティブキャンペーンだ。SNSで呼びかけた身代(みじろ)さんは、運動を始めた理由についてこう話す。
「実在しない形代県を生贄にすることで、実際の最下位を救おうと思いました。過去に引退勧告を受けた県も、実際はすばらしい土地かもしれない。必要以上に最下位をおとしめているのは、格付けの結果しか見ない、情報に踊らされる人たちではないでしょうか。」
形代県運動が成果を上げたことを受け、「今後は他の調査会社のランキング企画でも形代県で下位を席巻したい」と意気込みを見せる。
だが一方、身代さんの元には「形代県を作ること自体が差別的」「形代県民の気持ちを考えろ」という批判も寄せられているという。
「形代県を救う、新しい形代県を作らないといけませんね」。身代さんは苦笑する。