東京五輪開幕 夏の夜空、花火彩る これは嘘ニュースです
聖火ランナー(江戸川区にて本紙撮影)
開会式の会場となる新国立競技場には、政府が立ち入り制限を一時解除した17日から早くも数百人規模の行列ができるなど、その期待の高さをうかがわせていた。
「世界のキタノ」として知られる映画監督・北野武さん(73)演出による、江戸の「粋(いき)」をテーマにした開会式は、キタノブルーで統一したハッピ姿の男女1千人がグラウンドに登場。音楽家・坂本龍一さん(68)のアレンジによる「東京音頭・テクノリミックス」に合わせ、息の合った盆踊りを披露した。
また注目の聖火リレー最終走者には、ルーマニアの元体操選手ナディア・コマネチさんが登場。北野さんらしいユーモアある人選に大きな笑い声が上がった一方、意味が分からず困惑している外国人観光客も数多く見受けられた。
今回の東京五輪開催の経緯については、7年前の13年9月、ブエノスアイレスで行われた国際オリンピック委員会(IOC)総会の最終プレゼンで、当時懸案事項だった福島第一原発の汚染水流出問題について、安倍晋三首相(当時)が「状況はコントロールされており、東京に決してダメージは与えない」と、安全を保障したことが開催の決め手になったとされる。
当時安倍氏が語った「港湾内の0.3平方キロメートル」とした汚染区域は、その後「港湾」の定義を順次拡大した結果、現在は太平洋の91パーセントにあたる1億4千万平方キロメートルを占めるまでになったが、政府はなお「港湾内でブロックしている」との認識を変えていない。
放射能問題については、18年5月に関東一円で発生した「黒い雨」による避難指示以後2年がかりで取り組んだ会場エリアの除染作業が6月末に完了。今月17日、五輪開催エリアのみ避難指示が一時解除された都心部だが、まだ作業が手つかずのまま放置されている練馬区や杉並区では、亀裂の入ったビル群や草の生い茂るアスファルトなどが野ざらしのままだ。
開会式の最後は約2万発の「大江戸花火」が夜空を華やかに彩って締めくくったが、会場に来ていた6歳の女の子は「この防護服越しじゃなかったら、もっと綺麗な花火が見られたのかなあ…」と、少し残念そうにつぶやいていた。
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